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Staff interview

#15

デザイナーならではの腕を発揮し、ユーザーも営業もサポートセンターも「三方良し」を実現

MVP

西田 陽子

Yoko Nishida

SECTION 01担当者プロフィールSECTION 02デザイナーならではの腕を発揮し、ユーザーも営業もサポートセンターも「三方良し」を実現SECTION 03混沌としたものを情報整理するデザイナーとして5年以上活躍SECTION 04紙のマニュアルをオンライン化し、自力で答えにたどり着ける仕組みに SECTION 05複雑なシステムをわかりやすいUIで和らげ、現場の負担を軽減 SECTION 06プロダクトデザインとチームコミュニケーションは似ている

01. 担当者プロフィール

担当者プロフィール

- お名前: 西田 陽子 / Yoko Nishida
- 組織名:デザイン部
- 入社時期:2016年 07月

02. デザイナーならではの腕を発揮し、ユーザーも営業もサポートセンターも「三方良し」を実現

サービスが成長していくにつれて、複雑になってしまいがちなプロダクトやオンボーディング。UXリサーチを通じてたびたび現場の先生方の声を聞いてきたデザイン部の西田陽子さんは、スタディサプリ for TEACHERSのマニュアルをオンライン化するとともに、複雑だった管理画面のUIデザインを改善し、MVPを受賞しました。その西田さんに「情報整理」のコツを伺いました。

03. 混沌としたものを情報整理するデザイナーとして5年以上活躍

Q:現在のお仕事を教えてください。

西田:プロダクトデザイナーとして、主にスマホアプリや管理システムの画面デザインなどを考える仕事をしています。普段の業務では、アイデアを可視化したり、散らかっている情報を整理するといったことをよくやっています。どこにどのボタンを置いたら使いやすいか、どういった流れのサービス体験にしたら、ユーザーの皆さんに快適に、楽しく使ってもらえるかを考えています。現在は主に、学校向けの「スタディサプリ for TEACHERS」という、先生方が講義動画を宿題配信として配信したり、生徒さんの学習履歴を管理するプロダクトのUIUXデザインを担当しています。

入社は2016年でして、Quipperとスタディサプリに関わって約5年になります。割と古株なメンバーですね。

Q:新型コロナの影響で学校が休校になり、スタディサプリ for TEACHERSにも大きな影響がありましたよね。

西田:ありましたね。休校でオンラインでやらざるを得ない状況になったため、アクセス数や新規ユーザーが爆発的に増加しました。本当に社会から必要とされていると需要を実感しましたね。

04. 紙のマニュアルをオンライン化し、自力で答えにたどり着ける仕組みに

Q:それが、今回MVPを受賞した取り組みとも関係してきますか?

西田:はい。大きく2つの取り組みがあります。1つは、今まで紙で配付していたプロダクトの使い方マニュアルをオンライン化したことです。先生方にとっても、営業が対面で紙を使って説明するほうがよかったこともありずっとそのスタイルでしたが、紙だと、一度印刷してしまうと仕様を変更しづらかったり、手元にマニュアルがないとすぐに探せなかったりという課題がありました。そのため、「プロダクトの使い方を今知りたいのに、見たい情報にすぐにたどり着けない」という事態がけっこう起こっていたんですね。

Q:それで2020年、マニュアルをデジタル化したわけですね。

西田:そうですね、実は私にとっては、数年越しの念願のプロジェクトでした。

 私は普段の業務で、学校の先生にヒアリングをするのですが、話しているうちにプロダクトの使い方を説明することになったケースが多々ありました。営業も1人で何十校も見ていますから、現場の先生、一人一人まで細かくフォローするのも難しいですし、困ってカスタマーサポートまで問い合わせてくる人は全体の一部です。こんな風に現場で困っている人、取りこぼしている人を目の当たりにして、何としてももっと届けやすい形にしたいなと前々から思っていました。

 ですが社内では何となく、マニュアルって紙でやるものだよねという先入観があって……毎年「冬になったからマニュアルの季節だね」みたいなルーティン感がありましたが、声を上げ、サポートセンターや営業の方も含めて「オンライン化しよう」という仲間を少しずつ増やして、コロナ禍の中でようやく念願を遂げた形です。

Q:マニュアルはどのくらいのボリュームなんですか?

西田:90〜100ページ程度あります。それも継ぎ足し、継ぎ足しで更新されてきたので、使い勝手が悪くなっていました。

Q:では、単純に内容をデジタルデータのままWebに載せて終わりではなかったんですね。

西田:そうですね。私がこのマニュアルのオンライン化を通して一番届けたかった価値は、ユーザーが使い方が分からないとき、キーワード検索やカテゴリ分類、タグを活用して自力で答えにたどり着けるよう、背中を押すことでした。そこは情報を整理するデザイナーとしての腕の見せ所です。全体像と細部の情報構造設計を再整理し、「こんな風にしましょう」とサンプルイメージを作成して提案していきました。

Q:具体的にはどんな風にしたんですか?

西田:テキストだけをたくさん書き連ねて説明するのではなく、視覚的な表現を補完しながら伝えるように配慮しました。たとえば、実際にシステムで使っている機能ごとのアイコンとマニュアル上のアイコンを統一し、見つけやすいデザインにしました。また、マニュアルだけで完結するのではなく、プロダクト上で該当機能のマニュアルページに遷移できるようにしたりと、プロダクトとサポートの橋渡しをするような道案内も作っていきました。

Q:営業やサポート担当も巻き込んで進めていったそうですね。

西田:プロトタイプを、実際の先生方のことをよく知っているメンバーに持っていって相談したりしました。

 また、マニュアルは継続的に更新し続けなければいけないものです。ですから、必ずしもプログラミングができなくても、更新担当の方が編集、更新しやすい仕組み作りも一緒に提案し、作っていきました。きれいなものを作って終わりではなく、お客様にとって使いやすく、しかも会社として作り続けていくことができるものを目指しました。

 私は「三方良し」という言葉がけっこう好きで、ユーザーさんの満足はもちろん、こちらも持続できるような形にしたいな、というのがありましたね。

Q:マニュアルのオンライン化で、何か手応えはありましたか?

西田:紙とWebとの大きな違いは、キーワード検索ができることです。たとえば先生が宿題を配信しようと思ったときに、とりあえず「宿題」「配信」とキーワードを打ったら、たどり着ける可能性が高くなるという仮説を考えていました。マニュアルサイトのデータ分析をして検証してみると、やはりキーワード検索がしっかり使われているようで、よかったなと感じています。

05. 複雑なシステムをわかりやすいUIで和らげ、現場の負担を軽減

Q:「自力で答えにたどり着ける」が実現できたんですね。では、もう一つの取り組みについても教えてください。

西田:スタディサプリ for TEACHERSには、新年度に利用する生徒の登録手続きをする「年度更新」という機能があります。さまざまな事情や要望でいろんな仕様が継ぎ足されていて、不親切なUIデザインになっていました。画面をあちこち飛びながら設定をしなければならないため、問い合わせもかなりいただいていたんです。そこを整理し、「この画面さえ見れば、登録手続きが完遂できる」という形に整理しました。

Q:それまた面倒そうな作業ですね…。

西田:2020年当時、コロナの影響で本当に爆発的に導入校が増えていて、「このまま来年を迎えると、大変なことになるぞ」と危機感を感じていたんです。

 年度更新というのは我々にとって課金のタイミングであり、この処理をきちんとできないとお金が入ってこない重要なプロセスです。その画面が複雑で、利用者の方はもちろん、新しく入った営業の方も仕様が分からず先生方に説明ができないと、皆が困ることになります。ですから、この伏魔殿的なシステムを使いやすくすることで、ユーザーさんも営業さんもサポートセンターも、皆にわかりやすく、簡単に操作できる環境を作ろうと考えていました。

 結果として、昨年より導入校数、ユーザー数が大幅に増えたにもかかわらず、問い合わせ負荷は軽減できたので、成果はあったのかなと思っています。営業さんがお客様向けに説明しやすくなり、操作方法を解説するオンラインセミナーを何十回も開催できた要因の一つとしても、年度更新画面がわかりやすく、案内しやすくなったことがあると思います。営業さんから「ユーザーさんに説明しやすくなった」という声をいただいて、めちゃくちゃうれしかったです。

Q:未来の自分たちを楽にできたわけですね。

西田:そうですね、複雑なシステムを複雑なデザインのまま出していたことで、現場にオンボーディングやカスタマーケアの負担を強いていましたが、わかりやすいUIで和らげることによって、説明しやすく、操作しやすくなりました。こうした課題は、デザイナーとしてとてもやりがいのあるプロジェクトでしたね。

Q:デザイン自体も、またデザインに求められる役割も変化しているのでしょうか?

西田:ITって、昔のように若い人、詳しい人だけが楽しんで使うものから、教育も含め、いろんなインフラやこれまでITを使っていなかった人もどんどん使うようになってきていると思います。使う人が増えれば増えるほど、ニーズは多様化し、いろんな要望が来るのですが、それにそのまま応えていくと、UIって複雑になってしまうんですね。ですから要望を抽象化し、誰でも使いやすいように汎用化するのがデザイナーの役割だと思いますし、今回の成果でやっとそれに貢献できたと思っています。

06. プロダクトデザインとチームコミュニケーションは似ている

Q:マニュアルのオンライン化や年度更新機能の改善をしたことで、プロダクトに生かせそうな新たな知見はありましたか?

西田:そうですね。振り返りの場でも「こんな検索ワードが多かったから、こういうニーズがあるんじゃないか」といろいろ分析し、皆にシェアしています。これまで何となく肌感覚で身につけていたユーザーに関する知識を可視化し、共有できるようになったので、チーム全体が学習できる組織になれていて、面白いです。

Q:プロジェクトも振り返りもリモートで進めたんですよね?

西田:完全リモートでしたね。そのため、オンライン会議の画面共有を前提としたコミュニケーションを行うようにしていました。たとえば会議の中で、「こういう見せ方はどうでしょうか」とリアルタイムにデザインを作成したり、修正して、その場で全部決めていくスピード感で進めました。マニュアルでは情報をどのようにグループ分けするかもけっこう議論になったんですが、図解したものを作って目の前で編集し、ファシリテーションしながら進めるといったことを日々の会議でやっていきました。職業柄、曖昧なものを具現化するのは慣れているというか、役得なところがあったかもしれません。

Q:その場でささっと絵にできるのはうらやましいです。

西田:プロダクトデザインも、チームでのコミュニケーションも、スタンスは似ていると考えています。ミーティングでは、いかにチームのコミュニケーションを快適するかという観点で、コミュニケーションをデザインする感覚でやっていました。

 マニュアルも年度更新プロジェクトもステークホルダーが多かったのですが、Miroなどのツールを使って一枚の絵にまとめたことで、1つの場で、各視点から確認して決める、ということがやりやすかったように思います。人の集中力も限られていますから、ビジュアル化し、なるべく脳に負担を掛けず直感的に伝えることは意識していました。

Q:では、この先西田さんが考えているチャレンジについて教えてください。

西田:ユーザーが困っているところを定性定量調査でどんどん深掘りし、可視化していきたいと考えています。可視化することで、われわれのケアの強弱や優先順位を付けたり、何となく肌感覚で感じていた「こんな時期にはこんなことが起こるよね」ということの裏付けを取って対策を打つことができると考えています。われわれの体力も決して潤沢とはいえませんから、こうしたデータを活用しながら手を打っていきたいなと思います。

 それもできればプロダクトのアクセス解析だけでなく、もうちょっと先のカスタマサポート周りの分析まで踏み込んで、より良いケアを実現できればと思います。プロダクトを一度使ってもらって終わりではなく、ずっと使い続けてもらうために、手厚くサポートできる仕組みを作り上げていきたいと思います。

Q:最初に「古株」とおっしゃいましたが、プロダクトが成長する中で、この会社も変わってきたと思いますか?

西田:教育、学力の格差や、それにまつわる学校現場の負を何とかしていきたい、という芯の部分は変わっていませんが、ユーザーが増え、会社が大きくなるにつれ、セキュリティやコンプライアンスといったものへの対応は強化されてきていると思いますね。やはり公共的なサービスになってきているな、という実感があります。

Q:その中でメンバーの目線を揃え続けるのは難しい課題かもしれません。

西田:そうですね。事業が大きくなるにつれ、目線合わせの難易度は上がっているかもしれません。組織内でさまざまな情報や意見が行き交うからこそ、私はなるべく学校現場での一次情報にふれることを大事にするようにしています。私の場合、これまで1000名以上のユーザーに会ってきました。実際にどういった環境や温度感でプロダクトを使っているかをたくさん知ることができたからこそ、より良いプロダクト作りに活かしていけたと考えています。また、コロナでなかなか学校現場でユーザーに会いに行きづらい状況だからこそ、さまざまなドメイン知識を、何かしらの形で他のメンバーにも還元していきたいなと思っています。

 あと、仕事をする上で、「私はこう思う」ではなく、「ユーザーだったらこう思う」という風に、なるべく主語を自分にしないよう気をつけています。他の場面でもそうですね。いろんな立場の人が関わっているプロジェクトでは、「営業さんだったらどう思うか」「サポートセンターだったらどう思うか」と、主語をいろいろ入れ替えて、相手の目線に立って考えることを意識しています。長くいるからこそ、言葉の重みに気をつけるようにしています。

 昔、ある先輩デザイナーに「問題解決できないデザインはデザインじゃない、エゴだ」と言われたことがあります。ある問題を解決しようとしてデザインしても、また別の問題が起きてしまったら、それは独りよがりのエゴを押しつけてしまっている場合があります。ですから、全体感やいろんな視点を持って物事を考えることが大切です。その教えは自分の中でとても大事にしています。

取材時期:2021年4月

記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。

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