Staff interview
#18
01. 担当者プロフィール
担当者プロフィール
- お名前: 松田 大輝 / Daiki Matsuda
- 組織名:H20 Englishプロダクト開発部
- 入社時期:2018年 07月
02. 「自分で抱え込みすぎない」ことが複数プロジェクト遂行のコツ
適切に設計したITシステムならばマルチタスクも可能でしょうが、人間の場合、マルチタスクであれもこれも進めるのはなかなか困難です。その困難な任務に取り組み、常時複数のプロジェクトに取り組みながら案件を成功に導いてMVPを受賞した松田大輝さんに、効率的にプロジェクトを進め、コミュニケーションの齟齬を起こさないようにするコツを伺いました。
03. 攻めだけでなく守りのプロジェクトも含め、幅広い案件を遂行
Q:今のお仕事について教えてください。
松田:スタディサプリENGLISHのテクニカルプロダクトマネージメントグループに所属し、プロダクトの企画を担う人たちと一緒に細かい部分を詰めていって、開発に向けた要件定義、仕様決定を行うテクニカルプロダクトマネージャーとして働いています。スタディサプリENGLISHにはいろんな領域がありますが、B2C、B2Bではテクニカルプロダクトマネージャーとして、また「スタディサプリ for SCHOOL」ではプロダクトマネジメントの部分にも参加し、企画から入っています。
Q:MVP受賞の対象となった取り 組みについて教えてください。
松田:何か一つ大きな案件をやって受賞した、というのとはちょっと違い、複数の案件を同時並行で進めました。Speaking Feedback機能だったり、新たに中高生英会話コースを作ったり、グーグルとの連携機能を作ったり……こうした攻めの新規機能だけでなく、Flash Playerの廃止に合わせてそこから脱却するといった守りの案件も含め、幅広くやったことが受賞理由だと思っています。
04. 自分で抱え込みすぎず、意識的に「不必要なもの」を減らす
Q:これだけの案件を、事故を起こさず進められた秘訣は何でしょうか。
松田:自分で抱え込みすぎないようにすることは、自分自身でも意識していました。自分がボトルネックになってしまうというか、「松田に聞かなきゃ進まないよ」といった状態になってしまうことを一番懸念していたので、大事な部分は聞きつつも、各担当チームが自立して進むような動かし方をしました。具体的には、個別にばらばら話を聞くのではなく、定期的に話を聞く時間を設けてまとめてその場で聞くようにするとか、決まった内容はドキュメントに起こしておいて見れるようにしました。
Q:そうしたやり方は、何を参考にしたのでしょう。
松田:これというのは特にありませんが、プロジェクトマネジメントやタスクマネジメントについて日々自分で調べて、「シングルタスクで進める方が全体を見ると効率がいい」「同じようなタスクはまとめてこなす方が効率がいい」といったことを学んで、参考にした感じです。思い返すと、マネジメントが得意な前職の先輩を参考にした部分もありますね。
Q:それでも回りきらず失敗してしまったことはありませんでしたか。
松田:失敗というか、想定から外れてしまったケースとしては、中高生英会話コースの新規開発プロジェクトでしょうか。リリースまでに余裕があったので、「あとはよしなにやっておいてください」と雑に依頼してしまいました。
おかげで皆さんが「どう進めればいいか」を自分たちで考え、新しいプロセスを生み出してくれた面がありますが、一方で、スケジュールに余裕があったがゆえに、いつまでもだらだら進める部分が生じてしまいました。最終的に、ギリギリになってしまったことは反省しています。この経験を生かしてほかのプロジェクトでは、余裕は持ちつつ、要所要所でマイルストーンを決め、スケジュールを確認するようにしています。
Q:ほかに留意していることはありますか。
松田:一番気にしているのは、不必要なものを意識的に減らすようにしていることです。不必要というと語弊がありますが、スタディサプリENGLISHというプロダクトが成長し、組織が順調に大きくなるにつれて、その分コミュニケーションコストが上がってしまう側面もあります。そうした中で何も意識せずに進めていると、「とりあえず聞いておこう」「とりあえず 会議をやろう」という具合に、コミュニケーションを取ること自体が目的になってしまい、プロジェクトが前に進むのに時間がかかってしまう、という状況が無意識的に起きてしまいかねません。
もちろん、皆さんに自由に意見を言ってもらうのは、特にブレーンストーミングのような場では大事なことですが、人が増える中でみんなが好き勝手に話してしまうと、議論が発散しがちです。プロジェクト進行を管理し、前に進めるという意味であえて人数や情報を絞って、不必要なものが生じないようにすることを意識しています。
Q:テレワークはプロジェクト進行に影響を与えたと感じていますか。
松田:結論から言うと、あまり感じていません。確かに、リアルで出社していたときには、ちょっとした雑談を気軽にできる面がありましたが、プロジェクト進行という観点で言うと、テレワークでは時間を明確に区切って「この会議の場でこれをしっかり決めよう」ということができるので、非効率性はそこまで感じませんでした。ただ中長期的に見ると、雑談から生まれる新しいアイデアや人間関係がもたらすものも大きいので、そのあたりが今後の課題になってくるかもしれませんね。
Q:テレワークによって、皆さんが働き過ぎるのも心配ですよね。
松田:エンジニアの皆さんが時間を忘れて働きすぎていないかはすごく気になります。ですので、夜遅くに稼働していることがあれば気をつけるよう意識しています。依頼する側としては、スケジュールの目標は決めるものの、「ターゲットはここだけれど、間に合わなくても問題ないから目標として意識してくださいね」という感じで、精神的な余裕というか、心理的安全性を築くようにしています。
Q:ご自身の場合はどうですか。気付いたら働きすぎていませんか。
松田:端からはめちゃくちゃ働いているように見えるようですが、自分としてはそんなつもりはなくて、メリハリを付けながらやっています。というのも、タスク管理やプロセス管理、優先順位付けを皆さんにお願いしなければいけないプロダクトマネージャーという立場の人間として、自分自身でそこが管理できていないのは本末転倒ですよね。ですから、ぱっと見は忙しそうに見えるかもしれませんが、自分ではちゃんと管理しています。タスクを一覧化して、優先順位を付けるのはもちろんですが、新たにタスクを積まれるときには、「今、これだけ抱えていてこういう状態です」ときちんと伝えて、ほかのプロジェクトとの優先順位を調整したり、スケジュールをずらしたり、という交渉をしています。
Q:依頼を断るコツってありますか。
松田:頭ごなしに「できません」というのではなく、たとえば「ここまでは無理なんですけれど、ここであればできます」という具合に、代替案を一緒に提案するようにしています。
05. 「プロダクトのためになるかどうか」を常に判断の軸に
Q:プロダクトも組織も成長を続ける中、どんな課題を感じていますか。
松田:プロダクトも組織もめちゃくちゃ大きくなってきているので、いろんなところから「これやりたい」「あれやりたい」という声が出てきています。この結果、あくまで例ですが、認知度を挙げることを重視するマーケティングやプロモーションの観点と、ユーザーによりよい体験を提供することを重視するプロダクトの観点とで、やりたいことが必ずしも同じ方向を向かない時、というのが出てくるんですね。
そういうときの判断軸を常に自分の中で持っておこうと心がけています。これは、プロダクトマネージャーを担当していた以前から変わらないことですが、どんな施策や優先順位を決めるときにも、必ず「プロダクトのためになるかどうか」を大きな判断 軸にしています。それを元に、「これはプロダクトのためにならないから、少し方向を変えましょう」という具合にお話しするようにしています。
Q:プロダクトのステージによっても、やるべきことが変わってきそうですね。
松田:スタディサプリには2C、法人、SCHOOLなど複数の領域がありますが、それぞれフェーズが違います。2Cはある程度軌道に乗ってもっと広げていく、いわば10から100を目指すフェーズですが、SCHOOLはある程度広がった段階で、いわば1から10を目指す段階ですね。一方法人となるとまだまだ、0を1にしていく領域かなと捉えています。
それぞれで同じ動きをするわけではなく、0を1にしていく段階ならばクイックにトライアンドエラーを繰り返していくべきでしょうし、10から100を目指す段階ならば、目先の利益よりも中長期的な拡張性を見据えた機能改善をすべきですよね。ということで、一言で言えばプロダクトのためではありますが、各領域でそれぞれ重視するポイントは変えています。
Q:今後、松田さん自身が挑戦したいことを教えてください。
松田:大きく成長しているがゆえのひずみがあちこちで目出すようになってきています。ただ、だからといって人を増やせばいいや、というのは違いますよね。成長の中で壁にぶつかり、前進が鈍ってしまうことはあるかもしれませんが、その中でも部分最適ではなく全体最適な動きとしては何がいいのかを常に考え、判断できるようにしていきたいなと思っています。
プロダクトに関しては、英語を学習する機会を提供するアプリとして、も っとその体験を改善していきたいなと考えています。せっかくソフトウェアで提供しているのですから、もっともっと改善できるところがあると思っています。ここまで規模が拡大し、ユーザー数も増えてきた中で、僕らにしかできない学習体験を提供していけたらなと思っていますし、それを作るにはどうしたらいいかをずっと考え続けていきたいと思っています。
取材時期:2021年4月
記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。