Staff interview
#21
01. 担当者プロフィール
担当者プロフィール
- お名前: 大磯 春佳 / Haruka Oiso
- 組織名: 事業企画部
- 入社時期:2018年 10月
02. サーベイやヒアリングを元に、一人一人が輝ける組織作りに奔走
組織が成長していくには、その組織を構成するメンバー一人一人がパフォーマンスを最大限に発揮できる環境が必要です。自らが転職してきたときの経験も踏まえて中途入社者のオンボーディング施策を企画し、立ち上がりを支援するとともに、成長する組織ゆえにプロダクト開発部が抱えていた「もやもや」の解消に二人三脚で取り組み、MVPを受賞した事業企画部の大磯春佳さんにお話を伺いました。
03. 会社になじむのが早ければ早いほど本領を発揮しやすくなる
Q:MVP受賞の対象となった取り組みについて教えてください。
大磯:今、Quipperという組織は拡大期にあり、どんどん人を増やしています。その成長にともなって大きな2つ課題を感じていました。1つは入ってくれた人たちをいかにケアし、早く立ち上がって定着していただくか。もう1つは、Quipperの半分ほどを占めている、大きくなったエンジニア組織のケアです。
Q:1つ目の課題についてはど のように改善を始めたのですか。
大磯:まずは実態をつかむことからだと思い、2019年度に入社した方にアンケートとヒアリングを実施しました。そして抽出した課題の中から、大元となる大きな課題から手を付けていった形です。いろいろな部署の方に聞いても、やはり「中途入社した方々のオンボーディングが大事だ」という見解は共通していたので、部長会で起案し、人事自体で完結できるものは進めていきましたし、各受け入れ部署の協力が必要なことは各マネージャーに定期的に呼びかけて進めていきました。
Q:アンケートとヒアリングで浮かび上がった課題とは、どのようなものだったのでしょうか。
大磯:1つはやっぱり人間関係です。中途で入ってきて分からないことがあっても、なかなか気軽に聞ける人がおらず、壁にぶつかってしまったという人が散見されました。以前は、中途社員にいろいろアドバイスを行う「メンター」を付ける、付けないが部署によってバラバラだったからです。メンターがいない部署では自分で何とかするしかなく、特に全く異なるカルチャーの会社から転職してきた人にとっては難しい部分があったと思います。また仮にメンターがいたとしても、忙しいかなと思って、自分からはなかなか聞きにくい部分もあったかと思います。
Q:それを踏まえて、どのように変えたのでしょうか。
大磯:中途社員には必ず一人メンターを付けるようにして、かつ、1日15分でもいいので、1on1のミーティングを設定してもらうよう推奨しました。同時に、こちらは後か ら要望をもらって作成したのですが、メンターに指名された人が戸惑わないよう、「メンターとはどういう存在でいてほしいか」をドキュメント化してお渡ししました。
Q:人間関係以外に、中途入社の方が直面していた課題はありましたか。
大磯:もう1つの悩みは情報に関することでした。情報があちこちに散在しており、ドキュメント化されていないので、どこに何があるか分からない状態だったんです。ある程度在籍していれば分かることでも、入った直後の人にとっては難しい問題ですよね。1つ1つは大したことではなくても、いちいち聞くのもどうかな……という感じで困っている人がけっこう多かったことが分かりました。
そこで、なるべく手順などをドキュメント化するよう呼びかけ、文化の1つにしていければと考えました。中途社員向けのオンボーディングドキュメントの作成をメンターやマネージャーに依頼したり、退職する社員には引継書を作ってくださいねとお願いし、ケアしていきました。
もう1つは社員の顔と名前が一致しない、という問題ですね。そこでスプレッドシート形式で名前と仕事内容、自己紹介をまとめた「社員図鑑」を作って、定期的にアップデートしています。
それから、ヒアリングの中で「もう少しフォローアップや交流の機会がほしい」という声も上がってきたので、入社後一ヶ月、三ヶ月、六ヶ月のタイミングで人事面談を行ったり、中途同期の人たちの交流会を三ヶ月ごとに開催するといった施策も行っています。
Q:手応えはありましたか。
大磯:人事だけでなく配属先の部署の人たちのおかげでもありますが、自社をどれだけ親しい人たちにお勧めできるかを測るeNPS(Employee Net Promoter Score)というサーベイの中で、「オンボーディングが充実している」「ニューカマーに優しくなっている」といった声をいただいています。オンボーディングに大きな課題があった当初の状態からは脱却できたと思います。
それがどれだけパフォーマンスに結びついているかとなると計測が難しいですが、間接的には効いてきているのではないでしょうか。会社になじむのが早ければ早いほど、本領を発揮しやすくなりますから、それをある程度仕組み化できたと思います。
04. 先人の声も参考に、成長組織ゆえのマネジメント課題を解決
Q:もう1つの取り組みであるエンジニア組織のケアというのは、どんな課題感から始まったのですか。
大磯:Quipperでは全体の約3分の1をエンジニアが占めており、エンジニア組織は非常に大きくなっています。ただ、そのあり方が成長に追いついていないことを課題に感じていました。具体的には、全体に十分にマネジメントできていないなという、ちょっともやもやした感じがあったんですね。
Q:世の中一般の場合ですと、外部のコンサルタントにアドバイスを求めたりするところですが……。
大磯:いえ、複雑に絡み合った問題ということもあり、私とエンジニア組織の部長・マネージャーとで二人三脚で進めていきました。まずeNPSのデータを元に、マネージャー起点でグループの課題について 話し合う場を設け、何が問題であり、どのように解決すべきかをファシリテートしていきました。
それから、100名の壁を乗り越えた組織の理想像を外に求めたいなと思って、社外のVP of Engineeringの方にお話を伺いにいきました。エンジニアリングマネージャーの育成方法やキャリアパス、VPoEとCTOの棲み分けなど、いろいろなお話を伺えましたが、そちらのVP of Engineeringの方自身、組織作りに当たって、実務に近い立場でいろいろと努力をされてきたんだなということがよく分かりました。
Q:あらゆる組織に共通する課題かもしれませんね。
大磯:そうですね。「エンジニアのためのマネジメントキャリアパス」や「開発チーム 組織と人の成長戦略」といった本を読んだりして自分でもいろいろ勉強したのですが、やはり難しい課題だと思います。組織のフェーズやビジネス側との関係によっても組織構造は変わるはずですから、一概にこれが正解とは限らず、難しいですよね。そうした意味でも、ほかの組織ではどう取り組んでいるのかを直に聞くことができて、とても勉強になりました。こういう情報って、なかなかネット上では見つけられないと思うので。
Q:議論や他社のお話を踏まえて、どのような施策を打ったのでしょう。
大磯:一例として、「今はWebエンジニアをやっているけれどもSREに挑戦したい」といった具合に、新しいスキルセットを身につけたいと希望する人が、今までよりも気軽に、部内で違うチームに移動できるローテーション制度を設けたりしました。もう1つ、小さいことですが「メンバー間で のコミュニケーションの機会がなかなかない」という声もあったので、月に一回のペースでオンラインでのLT(ライトニングトーク)会を開催しています。こうした取り組みの直接的な結果とまでは言い切れませんが、皆で一緒に考え、いろいろな取り組みを重ねていったことで、eNPSの数値も上がっています。
このような組織の整備において大切なことは、トップがしっかりとした意思を持ち、それをマネージャー起点で動かしていくことではないかと思います。ヒアリングやeNPSを踏まえて、組織のあり方を部長やマネージャーと一緒に話し合い、その中でエンジニアリングマネージャーの役割を定義し直していきました。部長一人が見るマネージャーの数が多すぎる、という問題も、最終的には組織を分割するなどして解決されています。
05. 一人一人が得意なところを伸ばし、組織が大きくなる手助けを
Q:今後はどんなことにチャレンジしていきたいですか。
大磯:私は人事をやりたくてこの会社に入ってきたので、この先も人事として、一人一人が適材適所で輝ける組織作りをしていきたいなと思っています。
Q:前職では全然違う仕事をしていたんですね。
大磯:はい。以前は石油会社で事業側にいましたが、元々事業や製品といった面よりも、人や組織、マネジメントに興味があって、それで転職してきたんです。
もちろん社会人経験によって異なると思いますが、基本的には本人の希望を無視したローテーションで部署を異動し、苦手なことを無理矢理人並みにするよりも、それぞれの得意なところを伸ばしていく方が組織全体としてみたときにいいんじゃないかなと思っています。そ の人の得意なところを生かし、伸ばしていくことによって、組織やチームとしての総和が大きくなっていくのを見ていくのが好きだし、面白いなと思っています。
Q:今回の施策もそういった背景があってのことなんですね。
大磯:私自身、中途で入社してきたときには苦労したこともありました。特に、オンボーディングを充実させてほしいという気持ちはよく分かり、まさに自分事だったことを解決できたと思います。
取材時期:2021年4月
記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。
スタディサプリの開発主体であったQuipper Japanは組織再編のため、2021年10月に株式会社リクルートに事業譲渡しています。