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Staff interview

#22

内製と業務委託を組み合わせ、高難度の開発案件をやりきったエンジニアリングマネージャーの手腕

MVP

倉成 智久

Tomohisa Kuranari

倉成 智久
SECTION 01担当者プロフィールSECTION 02内製と業務委託を組み合わせ、高難度の開発案件をやりきったエンジニアリングマネージャーの手腕SECTION 03品質維持と開発期間の短縮を両立する手段として、内製と業務委託の組み合わせを選択SECTION 04プロジェクトマネジメントを通して生まれていった内外の連携SECTION 05打ち手が増えるのがエンジニアリングマネージャーの面白み、負債解消の取り組みも

01. 担当者プロフィール

担当者プロフィール

- お名前:倉成 智久 / Tomohisa Kuranari
- 組織名:小中高プロダクト開発部
- 入社時期:2018年 04月

02. 内製と業務委託を組み合わせ、高難度の開発案件をやりきったエンジニアリングマネージャーの手腕

事業に与えるインパクトが大きく、かつ厳しいスケジュールが求められるプロジェクトを遂行するのは難しいものです。ましてや、規模が大きく、内製の開発チームと外部のパートナーへの業務委託をうまく組み合わせながら進めるとなると難易度はさらに高まりますが、それを実現したのがコミュニケーション支援開発グループ マネージャーの倉成智久さんです。エンジニアリングマネージャーとしてどのようにプロジェクトを遂行していったのか、秘訣を伺いました。

03. 品質維持と開発期間の短縮を両立する手段として、内製と業務委託の組み合わせを選択

Q:今のお仕事について教えてください。

倉成:私は大学院卒業後にWebベンチャー企業に入社し、三年間働いた後に、当時のリクルートマーケティングパートナーズ(以下「リクルート」)に転職しました。保育向けSaaSサービスや妊婦さん向けアプリの開発を担当した後、2020年4月に、旧Quipper Japan(以下「Quipper」)のコミュニケーション支援開発チームに異動になりました。その後、2020年10月から、エンジニアリングマネージャーの役割を担っています。

Q:MVP受賞の対象となった「コミュニケーション機能」とはどのようなものですか?

倉成:大きく2つの機能があります。1つは、学級通信や休校の連絡といった先生から生徒へのお知らせを配信する機能です。もう1つは、先生と生徒がチャットのやりとりができる機能になります。元々「スタディサプリ」の学習アプリで提供していた機能ですが、新たに「スタディサプリ for SCHOOL」に機能を載せ替える開発プロジェクトに取り組むことになりました。

Q:このプロジェクトが評価されたポイントは何だと思いますか?

倉成:成果とプロセス、それぞれの面で評価してもらったと思います。成果面ではまず、コミュニケーション機能のプロジェクトマネジメントを通して、学校現場からの強い要望があり、かつ売り上げに対するインパクトが最も高い開発案件をやりきったこと、そして迅速に開発体制を構築し、営業活動が本格化する前にリリース日の見通しをたてられたことが挙げられると思います。

プロセス面では、今説明した成果を出すために、業務委託チームとの共同開発を行った点を評価してもらいました。Quipperではシステムのほとんどを内製で開発しており、一方リクルートではパートナー企業に開発を委託するケースが多いのですが、今回のプロジェクトにおいては、その両方の利点を生かす必要があると考え、内製と業務委託を組み合わせ、コードの品質を維持しながら開発期間を短縮できる体制を作っていきました。

Q:スケジュール的に厳しいプロジェクトだったのでしょうか?

倉成:2020年度はコロナ禍の影響で、全国の学校が一斉に休校するという事態が発生していて、学校現場でのコミュニケーション機能に対する要望がすごく高まっていたんですね。そのような背景もあって、スタディサプリとしてもコミュニケーション機能に力を入れていきたいという声がプロダクトチームに多く届いていました。

そして多くの学校では年度が変わる4月に新しいツールを導入し、保護者会などで運用を伝えるため、新年度の早い時期に機能をリリースできるかどうかが、その後の利用率につながる側面があります。極端な話、もしリリースが夏以降にずれ込んでしまうのであれば、その年は別のツールを使用するという判断となってしまうため、遅くとも一学期中にリリースしてほしいというオーダーがあり、スケジュールに関してはかなり厳しい状況でした。

Q:その中で、なぜ業務委託という選択肢を組み込んだのでしょうか?

倉成:最初は中途採用によるチームの拡大を検討しました。しかし開発工数を見積もったところ、当時の5名の開発メンバーに加え7名の増員が必要だということがわかってきました。採用活動の強化にも取り組みましたが、短期間での中途採用は現実的ではなく、かといって社内の他のチームに協力してもらうとなると、他チームが取り組んでいるプロジェクトに影響が生じます。早期の体制構築という面からも、業務委託という選択肢をとることにしました。

04. プロジェクトマネジメントを通して生まれていった内外の連携

Q:厳しいスケジュールの中、予定通りに進捗を進めるためにどんな工夫をしましたか?

倉成:スクラム開発を行っていましたが、最大で4チームくらいが関わる大規模なプロジェクトになっていたため、通常のスクラム開発で用いるバーンダウンチャートだけでは、「チームAの開発が終わらないとチームBの開発が進まない」といった依存関係がわかりにくくなっていました。そこでプロジェクト全体の開発進捗管理のためにガントチャートを併用し、「タスクの依存関係はどうなっているか」「いつまでに何をやっていなければいけないか」といった事柄を追いかけました。それぞれのチームには使い慣れたツールやプロセスを使ってもらいながら、開発プロジェクト全体としても期日までにリリースができる状態になるように、進捗管理とタスクの調整をしていたわけです。

Q:ガントチャートでの進捗管理は以前経験していたのですか?

倉成:いえ、実は自分としても初めてでした。当時のDO(Division Officer)との「よもやま」(四方山話から来た造語で、リクルート内では雑談・相談の場として多用されます)の中で、「こんな大規模プロジェクトを始めるんですよ」と話をしたところ、「それなら、裏側ではちゃんとガントチャートを作って、固めのプロジェクトマネジメントをした方がいいよ」といったコメントをもらって、実践してみた形です。

Q:チームメンバーからは「こぼれ球を拾ってもらえて助かった」という感謝のコメントもありました。それは、意識してのことでしょうか?

倉成:マネージャーというポジションは現場から一歩引いて開発全体を俯瞰できますから、こぼれ球の存在にも気付きやすいのだと思います。チーム間で連携すべきところがうまくいっていないとか、機能要件の実装に注力していて非機能要件の観点が漏れているといったときには、タスクをチケット化したり、チームが開発に集中できる環境を作るために自ら作業するような動きをしていました。

Q:逆に、チームメンバーに助けてもらったことはありますか?

倉成:業務委託チームへのオンボーディングやレビューといったところで、かなり助けてもらいました。今回参画された方は元々技術力のある方々ではありましたが、スタディサプリの詳しい機能やプロジェクトの背景といったドメイン知識についてはオンボーディングの中でお伝えしていきました。その際、メンバーがおのおのの得意な分野について「インフラのことだったら私が教えますよ」「フロントエンドは私が教えますよ」と手を上げてくれたり、業務委託チームのスクラムセレモニーに参加して、困りごとをその場で解決してくれていました。自分の貢献だけでなくメンバーの働きもあって、業務委託チームの垂直立ち上げを実現できたと考えています。

Q:業務委託チーム側から得たものもあったのではないでしょうか。

倉成:はい。たとえば、負荷試験ではシステムのボトルネックを自律的に見つけて改善提案をしていただいたり、PMの方には開発ワークフローを定義してもらったりと、開発プラスアルファでの貢献をしていただきました。また、QAで不具合が見つかった際には業務委託チームが実装した部分ではなくとも修正をしていただくなど、与えられたタスクをこなすだけでなくプロジェクトにコミットする姿勢に幾度となく助けられたと感じています。

05. 打ち手が増えるのがエンジニアリングマネージャーの面白み、負債解消の取り組みも

Q:エンジニアリングマネージャーとして心がけてきたことはありますか?

倉成:今回のプロジェクトの前から、振り返りを大切にしてきました。たとえばチーム立ち上げ期には、スプリントごとの振り返りだけでなく、四半期ごとにも振り返りを開催し、チームビルドをしてきました。タイムラインを作りながら「このとき、どんなことを思っていたか」という感情にフォーカスして振り返っていったんです。リモートの環境ではどんな気持ちで仕事をしているかが把握しづらいのですが、振り返りを通じて「他チームから自分たちの設計に対してレビューが入って、そのときはけっこう落ち込んだけれど、ミーティングを設定して深く理由を聞いてみたら納得感が出た」といった具合に、マイナスの感情がプラスに変わっていく動きが見えたりして、よかったなと思います。事実、チーム立ち上げから時間を追うごとにメンバーそれぞれが前向きに仕事をしていることがわかったんですよね。

Q:なかなか大変なお仕事だと思いますが、エンジニアリングマネージャーの醍醐味って何でしょう?

倉成:プロジェクトマネジメントをするときには、一メンバーとして取り組むときよりも多くの権限が委譲され、打ち手の幅が広がる感覚があります。今回のプロジェクトでも、もしメンバーの立場だったら、業務委託チームを採用するといった選択はしにくかったでしょう。そういう意味では、今回の案件でもエンジニアリングマネージャーならではの働き方が発揮できたと感じています。

Q:では倉成さん個人としては、今後もマネージャー的なキャリアを追求していくのでしょうか?

倉成:やはり開発が好きですし、技術に軸足を置き続けたいという思いはあります。ですので、エンジニアと行ったり来たりになるとは思いますが、マネジメントも追求していきたいなと思っています。裁量を持ってプロジェクトマネジメントしていく面白みもありますし、他のメンバーに働きやすい環境を提供し、力を発揮してもらうことでチームの成果につながる「場作り」はすごく面白いなと思います。

Q:こうした意識は、Quipperに来てから芽生えたものでしょうか?

倉成:そうですね。前職ではエンジニアとして仕事をしていましたが、リクルートの配属先で初めてスクラム開発を経験し、さらに妊婦さん向けアプリ開発でスクラムマスターをやってみたことで、「意外とこのロールも面白いかも」という手応えを感じました。そこがキャリアの分岐点になったかなと感じています。

Q:それを踏まえて、今後取り組んでいきたいことは何ですか?

倉成:まずはこの案件が落ち着いたら、技術的負債の解消に手を付けなければと思っています。与えられたリソースの中で、新規開発やエンハンス開発だけに偏らず、継続的に負債解消をし続けていく方法を考えていきたいです。これは自分たちのチームとしてもですし、小中高プロダクト開発部の技術戦略グループの一員としても、戦略立案と実行のバランスを取りながら取り組んでいきたいなと思っています。

Q:最後に、スタディサプリにおけるやりがいについて一言お願いします。

倉成:やはり、社会貢献性の高いプロダクトに携われることだと思います。Webサービスの開発は、どのような性質のプロダクトであれ、「データベースを設計し、APIを定義し、フロントエンドの実装をする」という意味で仕事の内容はそれほど大きく変わりません。だからこそ、自分の時間を誰かの役に立つものに使いたいと思っています。スタディサプリは、まさに現在進行形でデジタルシフトしている教育現場で、先生の公務負担を減らし、生徒に向き合う時間を増やしていく、といった形で、確実に誰かの役に立っているなと感じています。

Q:プライベートの話で恐縮ですが、プロジェクトの直前に育休を取得していたそうですね。子供ができたことで、いっそう次世代に役立つ仕事であることを実感しているのではないでしょうか?

倉成:自分が開発したものが、家族など身近な人に使ってもらえるというのは、リクルートでプロダクト開発する面白みの一つだと思っています。子供が小学校に入った時にはぜひスタディサプリを使ってもらいたいですね。

取材時期:2022年4月

記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。

スタディサプリの開発主体であったQuipper Japanは組織再編のため、2021年10月に株式会社リクルートに事業譲渡しています。

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