Staff interview
#37
01. 担当者プロフィール
担当者プロフィール
- お名前:山本 花菜子 / Kanako Yamamoto
- 組織名:小中高プロダクトマネジメントグループ
- 入社時期:2018年 09月
担当者プロフィール
- お名前:岩田 昌大 / Masahiro Iwata
- 組織名:小中高プロダクトマネジメントグループ
- 入社時期:2016年 04月
担当者プロフィール
- お名前:塚本 遼太郎 / Ryotaro Tsukamoto
- 組織名:小中高BtoCテクニカルPMグループ
- 入社時期:2022年 08月
2022年2月にリニューアルしたスタディサプリ中学講座では、学習を継続していただくための取り組みとして、郵送のDMによるコミュニケーション施策を実施。ユーザーとの新たなコミュニケーションチャネルを設けることで、サービス継続率向上の兆しが見えています。この取り組みはどのように実現できたのでしょうか。中学領域DM施策チームの山本花菜子さん・岩田昌大さん・塚本遼太郎さんに話を聞きました。
02. 大幅リニューアルした中学講座で、ユーザーの継続率向上のためにどう接点を持つか
Q:まずはこれまでの経歴をご紹介ください。
山本:前職ではWebメディアの企画・運用を担当し、2022年2月に中途入社しました。それ以来、スタディサプリ中学講座のプロダクトマネジメント組織で、既存会員の継続率向上に取り組んでいます。
岩田:新卒で2016年にリクルート(旧リクルートキャリア)に入社し、人材紹介サービス『リクルートエージェント』の営業を3年、採用管理システムの企画を3年経験。その後、2022年4月に自らの希望でスタディサプリへ異動し、現在はプロダクトの企画・開発を手掛けています。
塚本:私は2022年8月にリクルートへ中途入社しました。前職では求人サイトのエンジニアとしてWebアプリとネイティブアプリ(iOS/Android)を担当。現在は、スタディ サプリ小中高BtoC領域の開発案件におけるプロダクトマネージャーを担当しています。
Q:みなさんがMVPを受賞したのは、どのような取り組みなのでしょうか。
山本:私たちが取り組んだのは、スタディサプリ中学講座のチャーン(ユーザーがサービスを解約すること)改善を目的とした、新たなコミュニケーションチャネルの開発です。スタディサプリ中学講座は、2022年2月に大幅リニューアルを実施。新たな学習体験をユーザーに提供していく中で、チャーン改善=継続率を高める取り組みも改めて考え直すべきタイミングでした。
検討する中でたどり着いたのが、郵送のDM施策。従来のスタディサプリでユーザーとコミュニケーションを取る方法は、メールもしくはアプリの「お知らせ機能」の二つのチャネルでした。しかし、そもそも解約可能性が高いユーザーは、スタディサプリへのアクセス頻度が低かったり、スタディサプリからのメールを読み飛ばしたりといった状況が想定されます。そのため、スタディサプリのプラットフォームに依存しないコミュニケーションチャネルを確立すべきだと考え、郵送DMを実現するための調査検討・企画・仕組みの構築を行ったのが今回の取り組みになります。
03. 20人超のユーザーインタビューで見えてきた、価値を感じてもらうためのポイント
Q:どんなことから着手したのでしょうか。
山本:まずはスタディサプリを解約するユーザーがどこに不満(使いづらさ、分かりにくさなどの継続しない理由)があるのか、実態を知るためにユーザーインタビューを行いました。スタディサプリでは普段から様々な目的でユーザー調査を行っていますが、今回こだわったのは20人を超える継続ユーザーへの大規模なインタビューです。
実は、当初は素直に解約ユーザー10人に解約理由をヒアリングしたのですが、解約理由が予想以上に幅広く、取り組む効果が高そうな共通の要素が見出せませんでした。そこでインタビューの方向性を見直し、解約ユーザーではなく継続ユーザーに「スタディサプリを上手く活用する秘訣」を聞いてみることに。スタディサプリは人によって様々な使われ方をしていると想定されたため、社内で手分けをして20人超にお話をうかがいました。
Q:調査によって何が分かりましたか。
山本:継続しているユーザーには、いくつかの共通要素があるということが見えてきました。
一方で、継続できているユーザーでも、勉強への取り入れ方や操作方法がわからないという課題を感じていたタイミングが存在していたということがわかりました。こうした調査結果をヒントに、スタディサプリ活用のコツを訴求するDM施策を企画しました。
04. 複雑な論点を整理し、地道に積み上げ、柔軟に助け合える協業体制で企画・開発に臨む
Q:実際のDM送付はどのように進めたのでしょうか。
岩田:一番のネックになったのは、DMを郵送するための住所の取得です。従来、スタディサプリでは紙のテキストを購入する一部のユーザーには送付先情報として住所をいただいていたものの、会員登録に必要な情報として全てのユーザーに住所を求めていませんでした。そこで、DM施策を実施するためには会員登録システムやデータベースの仕様を変更し、新規登録時の画面で住所を入力いただくように機能を改修、ユーザーの皆様へ説明することが必要だったのです。
Q:個人情報に関わる部分の改修は、かなりセンシティブだったのではないですか。
岩田:そうですね。単に入力項目を増やせば良いということではあり ませんでした。お預かりする個人情報が増えることに対するケアはもちろんですし、Webサービスの一般論としてユーザーは入力項目が増えるほど最後までたどりつく前に離脱してしまう割合が増えるものです。チャーン改善に取り組んだ結果、新規登録が減ってしまっては本末転倒。複雑に絡み合っていた論点を整理して、一つ一つ丁寧に検討しながら論を積み上げ、関係者の合意やどうしたらユーザーの皆さんのメリットにもつながるかを考え続けていきました。
Q:無事に実現できたポイントはどのような点でしょうか。
岩田:一つは、山本さんがテキスト購入者を対象に先行してDM施策の効果検証を実施したことです。郵送でスタディサプリ活用の情報を届けることで、学習効果が上がり、サービスを継続利用してくれる割合が上がったことが実証されたこと。その成果をもとに、住所入力による新規登録のCVR低下リスクよりも、DM施策によるリターンが大きいとして合意を得ることができました。また、システム開発との接続を担当してくれた塚本さんが柔軟に動いてくれ、複数の開発プランを提示してくれたこともポイントでした。
塚本:CVRを踏まえた落としどころを探れるように、3つの開発プランを用意しました。具体的に言うと、住所欄を必須項目にするのか、任意項目にするのかといったパターン。仕様の検討段階ではCVRの低下をどこまで許容できるのかが見えていなかったため、ビジネス要求にあわせて柔軟に変えられるように予め計画しておくことで、岩田さんの起案や関係者との調整がスムーズに行くように支援しました。
Q:システムサイドで難しかった点はありますか。
塚本:システムが複数にまたがっており、関係者が非常に多かったことです。またフロントサイドもWebアプリとネイティブアプリの開発をまとめて自分が見ることに。同時並行でいろんな種類の開発を進めていくことが自分としては挑戦でした。納期までに着実にプロジェクトを完遂するためには、プロジェクトマネージャーの自分が主体的に進めていくことが必要で、何か懸案事項があったときは、それぞれの開発担当者にゼロベースで相談するのではなく、「こうしようと思うが、担当者としてどう思うか」と具体的な指針を示しながら対応を決めるようにしていましたね。
05. 個人のやりたいことが尊重され、多様な強みを持つ専門家と協力して実現できる環境
Q:このプロジェクトで、それぞれがチャレンジしたポイントと、難題を乗り越えられた理由を教えてください。
山本:従来はなかったチャネルを新たにつくる“ゼロイチ”の経験自体が私にとっては挑戦でした。また、今回の取り組みは、解約率が高まる学年更新時期にどうしても間に合わせたかった。教育マーケットではタイミングを逃すと次のチャンスが1年後になってしまうことも多いため、納期遵守という緊張感の中で、あえて大規模なユーザーインタビューを実施したのもチャレンジの一つでした。そうした困難から逃げずに向き合えたのは、スタディサプリというプロダクトを信じているからこそ。その良さがちゃんと伝わっていない人がいるのなら、正しく届けもっとサポートしたいという思いがやり切る力になりました。というのも、私自身学生時代にスタディサプリで受験勉強に臨み、大学合格を実現させた一人です。そして今は、身近に働く人たちがどんな思いでプロダクトをつくっているのかを知る立場でもある。一人でも多くの中学生に価値を届けたいという気持ちで向き合っています。
岩田:私がチャレンジしたのは、機能開発の論点をあらゆる角度から検討し、データや事実をもとに根拠立てて示すところですね。様々なビジネス要求を受け止めて、プロダクトに落とし込んでいくのは難しさもある反面、一つ一つのピースを地道に積み上げて立体的に組み上げていくような面白さがあります。ただ、今回はそれを一人でやり切るのはとても難易度が高かったところを、開発サイドを見る立場の塚本さんが企画サイドまで自らの役割を染み出してくれ、一緒に協業できたことに助けられました。
塚本:岩田さんが言ってくれたように、私が一つの役割にとどまらずに手を広げていったのは、先輩からのアドバイスもあるんです。「仕事を待っていても自分のやりたいことは実現できない。受け身にならずに自ら飛び出していった方がいいよ」と言われて、チャレンジしてみたのが今回のプロジェクトです。また、それができたのは純粋に新たなコミュニケーションチャネルの開発に価値を感じたからでもありますね。中学生や保護者のみなさんとの接点を持つ選択肢が増えれば、より適切なタイミングで適切な内容を伝えることができる。コミュニケーションが最適化できるのは、ユーザーにとってもリクルートにとっても意義があると思ったのも主体的に動けた理由です。
Q:最後に、それぞれが今後リクルートで実現したいことを教えてください。
山本:リクルートの人たちは、ユーザーを向いて仕事をしているからこそ、一個人のアイデアでもユーザーのためになることなら協力や応援を惜しまない文化があると思います。そうしたカルチャーを追い風にして、私はユーザーに価値を届けるために、今後も新たな施策の企画にチャレンジしたいです。
塚本:私はまだ将来の道がはっきりと定まっていません。今回少し経験したようなビジネス寄りの企画にも面白みを感じているし、エンジニアリングも好きだし、マネジメントにも興味がある。でも、そうした個人の幅広い可能性に期待して多様な機会を提供してくれるのがリクルートという環境。個人の意思を尊重してくれるからこそ、今はまだ選択肢を絞らずに様々な機会に挑戦したいです。
岩田:自分が実現したいことは、ものづくりが好きという気持ちに従って、これからもプロダクトドリブンで多くのユーザーに価値を届けることです。それを自分一人ではなく様々な分野のスペシャリストと実現できるのがリクルートの魅力。デザイナー、エンジニア、マーケターにデータサイエンティスト…と、一人ひとりが高い専門スキルを発揮し、力を掛け合わせることで個人の実力以上のことを実現できる環境だと思います。共に働くみなさんに刺激を受けながら、飽きることなく成長を続けたいです。
取材時期:2023年4月
記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。