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Staff interview

#38

事業の進化を停滞させないために。組織の垣根を越えて挑戦した、プロダクト運用におけるリスクマネジメント

MVP

進学情報プロダクト運用業務リスクマネジメントプロジェクトチーム

Risk management Team

進学情報プロダクト運用業務リスクマネジメントプロジェクトチーム
SECTION 01担当者プロフィールSECTION 02メディア運用で磨いてきたケイパビリティで、プロダクトの運用上の課題に向き合うSECTION 03多岐に渡る業務のリスクを評価し、改善の優先順位づけを行うための基準をつくるSECTION 04業務の各論を徹底的に知り尽くすことで、現場にも信頼される納得解をSECTION 05良いプロダクトをユーザーに届けるために、組織を越えて一つになれる環境

01. 担当者プロフィール

担当者プロフィール

- お名前:佐藤 容 / Yo Sato
- 組織名:まなびオペレーションデザイン部
- 入社時期:2018年 09月

担当者プロフィール

- お名前:林 千鶴 / Chizuru Hayashi
- 組織名:まなびオペレーションデザイン部
- 入社時期:2014年 04月

担当者プロフィール

- お名前:廣瀬 滋 / Shigeru Hirose
- 組織名:まなびオペレーションデザイン部
- 入社時期:2001年 04月

担当者プロフィール

- お名前:小林 暁 / Satoshi Kobayashi
- 組織名:まなびオペレーションデザイン部
- 入社時期:2022年 05月

担当者プロフィール

- お名前:安西 秀平 / Shuhei Yasunishi
- 組織名:まなびオペレーションデザイン部
- 入社時期:2017年 04月

「スタディサプリ進路」をはじめとするリクルートの進学情報事業では、2022年度にプロダクト運用におけるリスクマネジメントのあり方を刷新。このプロジェクトを担当したのがまなびオペレーションデザイン部のみなさんです。多岐に渡る業務を把握し、それに紐づく多数の関係者からの協力・合意を得ることも必要不可欠だったこのプロジェクトは、いかにして実現できたのでしょうか。プロジェクトを担当した、佐藤容さん、林千鶴さん、廣瀬滋さん、小林暁さん、安西秀平さんに聞きました。

02. メディア運用で磨いてきたケイパビリティで、プロダクトの運用上の課題に向き合う

Q:みなさんが所属するまなびオペレーションデザイン部とは、どんな役割を担っているのですか。

佐藤:私たちの組織が普段担っているのは、「スタディサプリ進路」「スタディサプリ for SCHOOL」などの進学情報メディアにおける、原稿制作プロセスの業務設計です。原稿を制作し入稿~掲載するまでについて、いかに品質と生産性を上げられるかを追求しています。

Q:あくまでもメディア運用に限定された役割だったみなさんが、プロダクト運用上のリスクマネジメントに乗り出したのはなぜですか。

佐藤:たしかに私たちがこれまで向き合ってきたのはメディア制作・運用プロセスなのですが、私たちのケイパビリティは、業務や運用フローを最適化すること。メディアだけに閉じることなくプロダクト運用なども含めた広い範囲で価値を発揮できるのではないかと考え、普段の業務範疇を越えて挑戦していきました。

Q:なぜ、リスクマネジメントのあり方を見直す必要があったのでしょうか

佐藤:従来、ミス・トラブルへの対応・対策は、組織、業務ごとに個別で検討され最適化されていました。しかし、事業やプロダクトの進化に伴って業務が複雑化するなかで個別の判断を続けていると、どこかで無理や抜け漏れが生じてしまいかねません。また、各組織に判断を委ねていると、戦略推進にリソースを割きたいあまり、どうしてもミス・トラブルへの対応が場当たり的になりがちです。

しかし、万が一大きなトラブルが発生すれば、学校や高校生の大事な進路選択へ影響を及ぼしかねません。そうならないように、組織横断でメディア・プロダクト全体を俯瞰して見ていくやり方に進化させることが必要でした。

03. 多岐に渡る業務のリスクを評価し、改善の優先順位づけを行うための基準をつくる

Q:とはいえ、組織の枠を飛び越えていくことにためらいはなかったですか。

林:たしかに、改めてプロダクト全体に目を向けてみると、知っているようで知らないことが多く、初めて見聞きする業務もありました。ただ、プロジェクトを進めるうえで自分たちが違う組織に足を踏み入れているという感覚はあまりなかったんですよ。対象の業務範囲は違えど、業務にリスクが潜んでいるときの状況は概ね共通しています。特定の人に強い負荷がかかっていたり、属人的なやり方で担保されていたりと、誰かが“しんどさ”を抱えていることが多い。そうした状況を解消していくという意味では、普段私たちが大切にしていることと変わらないですし、相手が普段関わっていない業務の担当者であっても、普段抱えている大変さに共感することが多かったです。

Q:プロジェクトはどのような手順で進めたのでしょうか。

林:まずはプロダクトに存在する運用業務を細かく洗い出しました。そうやって一覧化した204件の業務について、重大トラブルを引き起こす可能性の大小を評価。優先順位をつけ、早急に対応すべき業務から具体的な改善に取り組んでいます。

Q:204もの案件を優先順位づけするのは難易度が高そうですね。

廣瀬:業務の洗い出しやリスクを見つけることに関しては、自分たちがこれまで培ってきたノウハウで十分対応できた感覚です。その一方、今回のプロジェクトが難しかったポイントは、プロダクトに携わる各領域のマネジャーと優先順位付けの合意を得ることです。もう少し小さな組織単位であれば、みんなが各業務の重要性や大まかな事情を理解しているため、目線が揃っている状態で合意が得られます。しかし、今回は私たちが原稿制作プロセス以外の業務に詳しくなかったように、意思決定に関わるみなさんが全ての業務を把握しているわけではない。加えて各組織の事情も考慮しながら、全員に納得感のある優先順位づけを行うことが重要でした。

Q:具体的にはどのように優先順位づけをしたのですか。

廣瀬:まず各業務のリスクを客観的な指標でスコアリングしました。各業務について「重大性(発生しうるトラブルの影響度)」×「頻度(起きやすさ)」×「(運用品質の)安定性」の3つの指標でリスクを評価。組織を越えた統一の基準を導入してリスクを測るとともに、この指標の確からしさを担保するために、各業務を管轄するマネジャーの感覚値とも照らし合わせながら、204案件のリスクをランク付けしています。こうした情報を土台に、2022年度下半期はリスクのレベルが高いと判定したいくつかの案件について、対応に着手する合意が取れました。

04. 業務の各論を徹底的に知り尽くすことで、現場にも信頼される納得解を

Q:実際の業務改善はどのように実行していったのですか。

小林:例えば私が担当したのは、あるマスタデータの改善です。年3回の頻度で情報の更新作業が発生していたのですが、「情報取得ルートが一貫しておらず、複数の関係者によるリレー形式で情報を集めているため、やり取りの中で反映ミス・伝達ミスが起きやすい」「Excelに手作業で反映・管理しているため、作業上のミスが起きるリスクが高い」といった状況でした。加えて、マスタ更新の作業を長らく一人の担当者が担っており、業務の各論を周囲が把握していなかったこともリスクが高い要因。マスタデータは各種システムで活用されているため、ここでミスが発生すると大きく影響が広がる可能性があり、早急な改善に取り組む必要がありました。

そこで私が行ったのは、まず実際の業務担当者に寄り添い、業務の暗黙知を丁寧に開いてフロー図に落とし、言語化していくこと。リスクが高い業務の改善をすることが目的ではあるものの、裏を返せばその業務が成り立ってきたのは、担当者の頑張りがあるからこそです。そのプロ意識を尊重し、これまでの大変さに理解を示すこと。一緒に業務をより良くしていきたいという目線で信頼関係を築くことが第一です。

Q:世の中には業務改善を手掛けるコンサルタントもいますが、そこまでの近い距離感で取り組めるのは、みなさんならではの醍醐味かもしれないですね。

安西:業務の具体的な詳細を知り尽くさないと、本当に効果的な改善には繋がらないものだと思います。例えば、先期取り組んだ案件でもリスクの真因がどのプロセスに潜んでいるかを紐解くうちに、それぞれの異なる事情が見えてきました。業務フローが明確に定義されておらずマニュアルがないものもあれば、業務フローはあるけれど実態とズレているというケースもあったんです。だからこそ、私たちが普段から大事にしてきた業務の具体を見に行くアプローチが今回も活かされたと思います。

小林:リクルートはスピーディかつ柔軟にいろんなチャレンジをしていく会社。だからこそ、各業務のやり方も常に変化を続けているのが特徴で、短期的な視点だけでフローを整備するとあっという間に陳腐化してしまい、「業務フローはあるのに実態とズレている」というケースが発生するのだと思います。私たちはそうした現場感を理解しているからこそ、柔軟に変化していくことを前提とした中長期視点の最適な打ち手に取り組んでいきました。

安西:その一方、リスクが高いという想定でより詳細に業務を見に行くと、実際には思ったよりもリスクが高くなかった案件もありました。ただ、それは空振りに終わったというよりはスコアリングの確からしさの検証という観点で意味のある機会だったと捉えています。実態との乖離をリスク評価のスコアリングロジックにフィードバックすることで精度を高めていくことができた。リスク評価と実際の業務改善を行き来しながらリスクをマネジメントする動きができているのも醍醐味の一つです。

05. 良いプロダクトをユーザーに届けるために、組織を越えて一つになれる環境

Q:今後はどのような展開を予定していますか。

佐藤:2022年度下半期はスタディサプリの進学情報領域で実施しましたが、プロダクト全体でリスクを正しく評価しマネジメントしていくスキームは、プロダクトを問わず必要とされています。そこで今期は、スタディサプリの学習支援領域でも同様のスキームでリスクマネジメントのプロジェクトを実施予定。スタディサプリだけでなくリクルートが運営する様々な事業を横断して、私たちのナレッジを展開することもできればと考えています。

Q:最後に、みなさんが感じているリクルートで働く魅力を教えてください。

安西:今回のように複数の人が集まって取り組むプロジェクトでも、単に割り振られたタスクをこなすのではなく、周囲に働きかけながら主体的に自分の役割を広げていけるからこそ、成長の機会が豊富だと感じます。自らの枠を飛び越えて、他の人たちの仕事ぶりを間近で見ながら“盗む”ことができる。学びと発見が多い環境ですね。

小林:自分のミッションではないことでも、熱意を持って協力してくれるところです。今回のプロジェクトも、関係者のみなさんにはタイトなスケジュールで細かなお願いをしたのにも関わらず、忙しい中で快く答えてくれました。それが最終的にユーザーのためならばと共感してもらいやすいのは、リクルートらしさだと思います。

廣瀬:組織ごとに役割の違いはあっても、組織の間に壁は立っていないところですね。今回のような組織横断のプロジェクトでもフラットにあるべき姿を議論しやすいです。また、そうしたスタンスだからこそ組織の線を引き直す柔軟さも兼ね備えている。今回のように、自分たちの役割を再定義して自らの仕事を大きく育てていくこともできる環境だと思います。

林:サービスや機能をつくり進化させていく攻めの動きと、私たちのようにミス・トラブルのリスクを減らす守りの動きがバランス良く共存しており、どちらも良いプロダクトをたくさんのユーザーに届けるためという視点で共感しあえるところですね。だからこそ、まわりのみなさんを巻き込んで動きやすいのだと思います。

佐藤:私はリクルートのことを、機会が転がり“まくっている”会社だと感じています。個人が自分のやりたいことを自由にチャレンジできるという意味でもそうですし、チャレンジの周辺には検討が漏れていることもたくさんあって、それに気づいた人がまた手を挙げて新しいチャレンジを始めている。そんな光景があちこちで起きています。気づいたことがあれば誰がやるんだろうと待つのではなく、自分で飛び込んでいけば良い。それができるのがリクルートで働く魅力だと思いますね。

取材時期:2023年4月

記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。

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