Staff interview
#56
今のユーザーニーズにフィットした仕組みへと基盤を再構築。顧客、事業、プロダクトの「三方良し」を実現した、法人権限リニューアルプロジェクト
法人権限リニューアルPRJチーム
Corporate Authority Renewal Project Team

01. 担当者プロフィール

担当者プロフィール
- お名前:浦上 優人 / Yuto Urakami
- 組織名:社会人戦略G
- 入社時期:2023年 01月

担当者プロフィール
- お名前:山口 洋 / Hiroshi Yamaguchi
- 組織名:Englishバックエンド開発1G
- 入社時期:2022年 02月

担当者プロフィール
- お名前:高木 祐寿穂 / Yuzuho Takagi
- 組織名:EnglishテクニカルPMG
- 入社時期:2019年 11月
どんなに優れたシステムも、社会やマーケットが変化すれば、旧来の想定とは異なる事象が起こり不具合に発展するリスクがあります。『スタディサプリENGLISH』の法人向け事業では、既存の権限管理システムが実際のクライアントニーズと乖離してきたことに着目し、システムにおける権限付与の概念そのものを変える大規模な構造再編を実施。各所への影響が大きく、リスクが高いプロジェクトを2年がかりで無事にやり遂げたのが、「法人権限リニューアルプロジェクト」です。このプロジェクトが完遂できたポイントはどのようなものだったのでしょうか。チームを代表して浦上優人さん、山口洋さん、高木祐寿穂さんの3名に話を聞きました。

02. 学習意欲が高い法人企業ほど不便が生じやすい構造を、抜本的に見直したい
Q:まずはみなさんの経歴をご紹介ください。
浦上:前職は総合コンサルティングファーム。IT関連の業務改善プロジェクトに3年半従事し、転職を決意しました。リクルートに決めた理由は、社会的意義が大きな事業にチャレンジしてみたかったから。場所や経済状況による学びの機会格差をなくす目的で誕生した『スタディサプリ』のビジョンに共感したからです。入社後は、『スタディサプリENGLISH』のカスタマーサクセスを担当。法人や学校のお客様が申し込み〜利用開始〜継続利用をしていただくプロセスの体験価値向上を目指し、運用設計や業務改善を行っています。
山口:大学院での研究を経て、大手のライブストリーミングサービス企業に入社しました。バックエンドエンジニアとしてライブストリーミングサービスの基盤となる部分の開発を経験。約5年経験を積んだのち、もっといろいろなチャレンジができるような環境に身を置きたいと考え、リクルートに転職してきました。入社後は、一貫して『スタディサプリENGLISH』のバックエンド全般の開発を担っています。
高木:前職は大手Webサービス企業でエンジニアをしていました。コミュニティサービスに携わり、バックエンドからフロントエンドまでを幅広く担当。実務としてもコーディング、要件定義……と何でもやりました。こうした経験を経て、私はPMに特化して専門性を磨いていきたいと思うようになり、それができる場所を探してたどり着いたのがリクルートでした。入社後は、テクニカルPMという社内でも珍しい役割に従事。プロダクトマネージャーとエンジニアの間に立ち、両方の側面を踏まえながら要件を検討したり、プロジェクトの各種調整を行ったりする立場を務めています。
Q:では、みなさんが今回取り組んだプロジェクトについて教えてください。
浦上:今回のプロジェクトの舞台は、『スタディサプリENGLISH』の法人様向け事業。法人のお客様は、従業員向けの研修や福利厚生といった目的で『スタディサプリENGLISH』を導入しているのですが、申し込みいただいたコースごとにユーザーを管理する仕組みについて、お客様からは「受講者や受講状況の把握がしづらい」というご意見をいただくことがありました。
高木:その要因は、『スタディサプリENGLISH』がもともと学校向けにつくられたプロダクトであること。ユーザー権限付与やユーザー管理の仕組みが一般企業に活用いただく想定で設計されたものではありませんでした。
山口:それでも初期の『スタディサプリENGLISH』は受講できるコースがひとつだけだったので大きな問題ではなかったのですが、コースが増えていくにつれ問題が顕在化。システムと顧客ニーズの実態が乖離していることを認識しつつも、営業やカスタマーサクセスのみなさんの運用でなんとかカバーしていた状態。お客様だけでなく社内でも負荷が高い状態になっていたのです。
浦上:こうした不便は、複数のコースを継続的にご利用いただいている法人様ほど生じやすい構造。このままの状態が続くと、管理しづらいことが原因で継続していただけないリスクもありました。ひいては英語を学びたいユーザーに学習機会も届けられません。そうならないためにシステムの構造から抜本的に再構築し、このプロダクトに関係する様々な人たちが感じている負荷や不便を解消しようというのが、「法人権限リニューアルプロジェクト」なんです。
03. 影響範囲が広く個別最適では上手くいかない。役割を超えた相互理解で全体最適を探る
Q:このプロジェクトを完遂させる過程で、特に重要だったことを教えてください。
浦上:権限付与の仕組みはプロダクトの根幹を成す部分。単にプロダクトの仕様が変わるだけでなく、サービスの運用フローも変えざるをえませんし、営業の行動にも影響が出ます。『スタディサプリENGLISH』を取り巻くあらゆるものごとに影響が生じる可能性があり、抜け漏れなく検討し尽くすには各々が自分の役割の範囲だけに閉じている場合ではいけなかった。プロジェクトに関わるみんながそれぞれの守備範囲から染み出しつつ、相互理解を深めながら事業全体の最適解を導き出す動きが重要でした。
Q:部門ごとの個別最適では上手くいかなかった、ということですね。
高木:はい。だからこそ関係者とのコミュニケーションの取り方もこだわった部分です。今回は非常に関係者が多く、例えば「影響がないと思って細かな説明を省略していた部署から思わぬ反対意見が出て、リスクを解消するために要件が増える」といったことが生じがちでした。プロジェクトチームの私たちがいかに全体を見渡し、影響範囲を見越して関係部署に説明や調整ができるか。リニューアルの思想として大事な部分は守りつつも、柔軟に意見を取り入れながら全員にとって価値のある着地点を見つけていくような合意形成を意識していました。
山口:そもそも起きていた問題って、「システムと現場のニーズや運用が乖離している」ことですよね。だから、この溝を埋める意味でも相互理解は重要だったのだと認識しています。実際、プロジェクトが立ち上がった当初の私はエンジニアとしてシステムのことは理解していましたが、営業やユーザーのことがあまり見えておらず、システムをどう変えれば問題が解決されるのかがさっぱり分からなかったんです。だからこそ、ビジネスサイドのみなさんと一緒になって検討ができたことが大きかった。使う側のシーンがリアルにイメージできるようになったからこそ、技術面でも自信を持って大胆な解決策を提示できたと感じています。
04. リリース延期のピンチを乗り越え、全員が一つの共通意識でゴールを目指した
Q:プロジェクトの一番の山場はどこだったのでしょうか。
高木:実は一度リリースが延期になっているんです。時期としては、新しい仕組みの仕様が決まり、作り込みも進んでいる段階。実際の運用を切り替えていくための移行のやり方で折り合いがつかず、当初予定したリリース時期から5か月伸ばすという苦渋の決断をしています。
Q:そこからどうやって実現させたのですか。
高木:まず行ったのは関係者間で曖昧だった部分を明文化したこと。タスクや役割、スケジュールなどを細かく明確化し、移行に関わるあらゆる人にとって不安のない体制をつくりあげました。また、移行時にミス・トラブルが発生しないようにすることは当然ながら、万が一起きたときのリカバリー策についても協議。それらを関係者全員でレビューし、認識の相違や抜け漏れがないかを丁寧に確認することで、これなら移行できるという安心感を醸成していきました。
浦上:その際、特に重視したのはユーザーに不都合が生じないことです。システムを変えることも、サービスの運用や営業行動を変えることも、結局何のためにやるかといえば、お客様のため。そこだけはブレずに、「ユーザーにとって何がベストなのか」という共通認識を持って議論したかった。特に私は普段からカスタマーサクセスを担当しているからこそ誰よりもその意識を持たなければならないと考えて、積極的に問いかけるようにしていましたね。そうしたスタンスを持てたことが、議論の場でも主体的に自分の考えを発言することに繋がった気がします。
05. 法人権限リニューアルプロジェクトの成功が、更なる進化の布石に
Q:2025年8月のリリースは大きなトラブルなく完了し、新しい法人権限方式へと移行しています。これによりどんな成果や兆しが表れていますか。
浦上:まずは管理画面の利便性が向上し、お客様の手間を減らせたことですね。不満からサービスの離脱につながる潜在リスクを解消できた意味は大きいです。付随して営業にかかっていた負荷も緩和することができましたし、ユーザーの利用状況を個人単位で計測できるようになったのは、お客様にとっても事業にとっても価値のあることだと捉えています。
高木:例えば、「継続的に受講しているAさんはどんな人で、どんなコンテンツに満足しているのか、いつどのように受講しているのか」といった傾向を分析しやすくなりました。そのデータをもとにお客様が企業内で受講促進をすることもできます。
浦上:顧客接点を持つ営業の行動にも変化の兆しがありますね。データをもとにお客様である企業の人事や研修担当者と会話ができるようになったからこそ、単にプロダクトを提案するのではなく、『スタディサプリENGLISH』を活用した従業員育成や企業内研修のあり方を提案するような営業スタイルが磨かれつつあります。
山口:技術的な面でも成果は大きいです。これまでは実際の運用とシステムが乖離していることで負荷がかかり、データの破損につながっていたケースもあったのですが、移行後は発生しづらくなった。それによって外部システムとの連携がしやすくなり、更なるプロダクトの機能強化や拡張の足掛かりになっています。
Q:それでは最後に、今後みなさんが挑戦したいことや実現したいことを教えてください。
浦上:「法人権限リニューアルプロジェクト」では、役割を超えて多様な人たちと協力してやり遂げたからこそ、自分にはなかった視点を取り入れたことが学びになりました。だからこそ私はこれからも自分の責任範囲に閉じないスタンスを大事にしたい。そして、顧客価値の向上を一番の目的に掲げながら、ユーザーの生の声をプロジェクトや事業に届けることにこだわりたいです。
高木:テクニカルPMの私としては、データをもとにしたプロダクト改善をより速く・より高い質で実現したいですね。権限付与方式の変更によってデータが取りやすくなったのは、私自身のやりたいことにチャレンジする意味でも追い風になりました。また、今回のような大規模プロジェクトで様々な部署・関係者と協業した経験は、今後のプロジェクトで必ず活きて来るはず。大きなものごとを動かすときこそ、細かさや丁寧さにこだわるというスタンスで、これからも新しいプロジェクトに挑戦したいです。
山口:私が長く担当しているバックエンドエンジニアの役割って、ユーザーやビジネスサイドの人たちからは見えにくいし、私からも彼らの動きは見えにくいもの。今回のプロジェクトではそうした壁を乗り越えて協業できたからこそ、誰にも不都合を強いることなくみんなにとって良い結果を生みだせたのだと思います。この成功体験を踏まえて、私は今後も“三方良し”の開発を大事にしたい。事業やユーザーの声を積極的に取りに行くことで、自らの技術的好奇心に従って果敢にチャレンジしたことが、まっすぐに価値として還元されるような状態を目指したいです。
記事中で紹介した事業(名称や内容含む)や人物及び肩書については取材当時のものであり、現時点で異なる可能性がございます。





